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2012.10.10
ゴールデンボンバー マネージャー 所恵実さん
仕事人インタビュー
ゴールデンボンバーマネージャー 所恵実さん


メディアにも引っ張りだこの大人気エアバンド、ゴールデンボンバー。今では横浜アリーナをソールドアウトさせるほどだが、ライヴ動員数一桁という時代から彼らを支え、一番近くでその成長を見てきたのが、所マネージャー。ファンからの支持も厚い彼女にマネージャーという職業について話を聞いた。

text_音楽雑誌編集コース1年 中村歩己


——マネージャーになろうと思ったきっかけを教えてください。


なろうと思ったというよりも元々レコード会社にいまして。業界はレコード会社初めてです。その時にA&Rというアーティスト担当をやっていて、兼任ということで始めました。やろうと思ったわけじゃなく、デビューが決まった子が事務所に所属していなかったので結果そうなりましたという感じです。

 

——マネージャーの主な仕事内容を教えてください。


スケジュールを作る、雑誌やテレビのブッキングをする、ライブの現場につくことでしょうか。あとは、例えばCDのジャケットを作るときに、どういうコンセプトで撮ろうかを考える、衣装を考える、とかです。アーティストの方向性を考えてスケジュールを作っていくという事じゃないでしょうか。

 

——スケジュール管理は大変ですか。


インディーズの場合、アーティストがバイトをしていると調整が大変です(笑) 。売れてないときって仕事を入れなきゃいけないんですけど、スケジュールが埋まるようになると、今度はお断りしないといけなくなるわけです。いろんな仕事がきても、今のアーティストのレベルにそぐわなかったりすると、スケジュールがいっぱいになってなくてもお断りしないといけない仕事がある。そのアーティストに相応しいスケジュールにしなきゃいけないので、それを考えて調整する、なにをOKしてなにをお断りするかの調整みたいな。こちらから仕事取りに行かなきゃいけないのと、いただいた仕事をどういうふうに調整して組んでいくかっていうのの違いはありますね。そっち(後者) のほうが大変かもしれないです。というか、辛いです。

 

——この仕事のやりがいはなんですか。


一番重要な事は、問題が起こったときに解決して着地をするっていう仕事じゃないかと思ってます。たぶん今ゴールデンボンバーが居なきゃいけないポジションはいつまでも新人な位置っていうか、フレッシュな位置と思っていて。世間からみたら「女々しくて」ってたぶんの一発屋のにおいがすると思うんですよ(笑) 。そうならないようにしなきゃいけないと。わかりやすく言うと、1020年やり続けるために、お客さんに飽きられないようにしなきゃいけない。常に新しいものを提供して、長くファンでいてくれるように何かを考えなきゃいけない。試行錯誤でいいから、失速しないようにいろいろ考えることが大事だと思います。過去エアーバンドで売れた方がいたらそこに習って、とりあえずこの人たちをなぞってやっていってみて…みたいなのがあるかもですが、そういう前例がないから、難しいのかもしれないですよね。

 

——この仕事をしていていちばん嬉しかったことはなんですか。


アーティストをほめられるとき。お客さんには“大好きです”って言われたりとか、関係者の人に“すごくいいアーティストですね”ってほめられるときかな。“おもしろいですね”って言われてるメンバーを見てるとか。単純にそういうことかもしれないです。

 

——いちばん辛かったことはなんですか。


体力的にという事で言えば、明日移動予定だった福岡での動画撮影を、急遽前日の24:00出発に変更したいっていう話になって。東京から車で行くんですけど、12時間くらいかかるんです。仕事を1日会社でやって、終電ぐらいの時間にメンバーが来て、出発しますってなって、あたしだけじゃん、1日仕事してるのって(苦笑) 。メンバーは移動のためにその日は休んでるんだろうけど。普通に働いて終電の時間に車に乗せられて、九州に12時間走るっていうときに単純に体力的に辛いと思いました(笑)。

 

——お仕事のときに必ず持ち歩くものを教えてください。


携帯とスケジュール帳と財布と筆記用具とかですかね。私はスケジュールをパソコンで管理しないんです。昔、先輩に言われたことがあって。データってすごくもろくて、一瞬でだめになる可能性があるでしょ。あと自分が覚えるという意味で紙に書く。それがずっとですね。財布もなくしたことあるし、携帯なくしたこともあるし、パソコンもタクシーに置き忘れたこともあります(笑)。スケジュール帳だけは無くした事ないですね。

 

——有料サイトでのブログも人気ですよね。そのことについてどう考えていますか。


ブログを始めたのはいつぐらいですかね、2年くらい前でしょうか。私は本当にアンチアニバーサリー女で、全然そういう記念日的なものを覚えないんです(苦笑) 。有料サイトって必ず毎日なにかが更新されてないとちょっとどうだっていう話じゃないですか。メンバーはアメブロで書いているので、書いてないのは私だけだったんです。で、社長に「書きなさいよ」って言われて、「わかりました」って書き始めるんだけど、当然メンバーに会わない日とかもあるわけですよ。そういうときにネタをしぼりださなきゃいけないわけで(笑)  “わたくし、今日こんなランチしました”みたいなのは極力書かないようにしてます。ファンの方が見てるサイトなのに私の昼飯なんてどうでもいい話ですからね。あとは、お客さんが喜んでくれそうな写真をイメージして載せるようにしてます(笑)。

 

——マネージャーさんから見たゴールデンボンバーさんの魅力を教えてください。


本当に変人揃いですよね(笑) 。社交性がなくてネガティブで(笑) 。私も過去レコード会社を含めていろんなアーティストを、それこそアイドルとかも担当してきましたけど、こんなに4人がよってたかって変わりものばっかり集まるって珍しいと思ってます。一緒にいる時間が長いから、一番よく知ってると思われがちなんですが、根本は他人なのできっと知らない事だらけです(笑)。あと、自分とは根本的に性格が違うので(笑) 、理屈では理解するけど、心底は理解できてません(笑) 。なんでそんな考え方するんだろうとか、なんでそこまでネガティブなんだろうとか、よく思います。

ただ、プロ意識みたいなものは昔からすごく高いと思います。お客さんに対して、楽しませなきゃいけない高い意識がプロっぽいバンドだなと思っています。

 

——ゴールデンボンバーさんのマネージャーになったきっかけっていうのは。


池袋CYBERというライヴハウスで、うちに当時いたヴィジュアル系のバンドが出てたんですね。そのイベントにボンバーも出ていて。私も含めて事務所の人とか関係者の人が何人か見に行っていて、うちのバンドが終わったあとに出てきたゴールデンボンバーってバンドがものすごくおもしろいとみんな言うんですよ。私はたぶん片付けとかいろいろやってて、そのときはボンバーを見てないんです。

当時スタッフは私以外全員男性だったんで、男の人が見て“すごい馬鹿やってておもしろい”みたいな、すごい絶賛するんですよ。で、正直売れるか売れないかわかんないけど、やってみようということになって。「童貞が!」とかを演ってる時代で、私は下品なバンド大嫌いなんで(笑) 、そこには全然魅力を感じてないわけです(笑) 。でも、社長以下男性スタッフが気に入ったので、契約しようとしていて。私に内緒で、メンバーを事務所に呼んだんです。契約書にハンコを押し終ったあとに、“やろうと思うんでよろしくね”ってその会議室言われて。ふざけんなって感じで(笑)。だからたぶんメンバーの私の最初の印象はよくないと思います、私も嫌だったし(笑) 

それでももうやるって決まっちゃったので、当時鬼龍院が作ってたサイトをを見ながら帰宅したんです。歌詞とかアップしてあって、それがイメージに反して素敵だったんです。とてもあんな「童貞が!」とか言ってるバンドじゃない、素晴らしいと思って。なんでそれをみんな言ってくれなかったんだろうって、ちょっと見方変わりました。で、まあちょっとやってもいいかなって、やってやってもいいかなって(笑)。

当時は暗かったんですよ、とにかく全員が(苦笑) 。ドラムがまだ研二じゃないときで。ザ・モテなさそうな感じ(笑)。普通アーティストってキラキラしてるとか、あるじゃないですか。そういうのをまったく感じられなかったです(笑)。そういう意味では、私は見る目がまったくないんですよ。売れてるものをやりたいというのではなくて、売りたいと奮闘する事は楽しいです。売れてる人をやりたければ、がんばってレコード会社に入って売れてるの担当させてくださいって言うほうが早いかと。個人的にはあまりそういう事に魅力を感じていなくて、売れていく過程を見れるという事に幸せを感じます。いくらがんばっても努力と比例しない世界でもあるので。池袋CYBERから横浜アリーナっていう絵を見れるアーティストはそんなに多くいるわけではないと思いますし、そういう点ではありがたいというか、とてもメンバーに感謝してます。

 

 

——アーティストと関わる上で気をつけていることはありますか。


土足で踏みにじらないとか(笑)。マネージャーという職業についた時に「血液型別子供の叱り方」という本を読んで研究した事もありました。最初に担当した子は女の子で、当時は自分より10歳くらい年下で。当然子供もいないので子供に対してどう怒っていいかわからないんですよ。

それで、その本を買って、B型の子はみんなの前で怒っても大丈夫だけど、A型の子は2人で話をしなきゃだめとかを最初はマニュアルに沿って(笑)。あとバンドってひとつじゃないというか、4人いたら性格と個性が4つあるんで、一個のバンドだからと全員に同じことを求めない事とか、ですかね。

 

——今後マネージャーとしてアーティストにしていきたいことはありますか。


スタッフはあくまで、売れる手伝いをしてると思っています。だからアーティストにないものを持たせようっていう気はあまり無いです。その性格直したい、と思う事はあっても難しいですし(笑)。例えばいつも同じ色の服を着てるけど実はこういう服が似合うんじゃないかとか、たぶん他人がいなきゃ気づけないことで、そういう服を着たときにお客さんが“すごくいいね”って言ってくれたりしたら、新たな発見になると思います。

たぶん才能を元々持っていて、それをどういうふうに出して行くかっていうのを大人なり、本人じゃない人たちが、客観的に見てより魅力がアップしていくお手伝いというか。1から作るのは絶対無理だと思ってます。自分で産んだわけじゃないし(笑)20歳超えたら人格なんかとっくにできてると思うので。お手伝いですね。

 

——所さんにとって、マネージャーとはなんですか。


売るためのスタッフの1人で 、なおかついちばんそのアーティストについて知ってなきゃいけない人ですかね。保護者じゃないし、先生じゃないし、先輩じゃないし。良さを外に出してあげなきゃいけない、良さを世間に伝える、いちばんメンバーに近いところにいる人、でしょうか。

 

——最後にマネージャーを目指している学生に、メッセージをお願いします。


自分のことより、アーティストのことを優先できる性格でないと難しいんじゃないかと思います。実際キツい仕事だと思いますし(苦笑)。前にも取材で同じようなことを聞かれて、「もうちょっと夢のあることをお願いします」みたいなことを言われましたが(苦笑)。売れたら楽しいですよとか言うのは簡単かもしれないですけど、そんな表に見えてる仕事ばっかりじゃ全然ないので。人のために、苦労できる人ですかね。



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東京スクールオブミュージック専門学校渋谷のファンクラブスタッフコース、音楽雑誌編集・ライターコース、音楽雑誌企画コース、音楽雑誌編集コースで学ぶ学生が「音楽業界...

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